
「 机の上に、リンゴが4個あります。
その机に、さらにリンゴを3つ載せました。
机の上にリンゴは何個載っていますか?」
「何、馬鹿な事を聞くんだろう?」と思うでしょうが、ちょっと付き合って下さい。
で、「7個」ですね。これには異論は無いでしょう。
では同じ質問ですが、
「北に向かって 4Km 歩きました。
その後、東に向かって 3Km 歩きました。
今、出発点からどれだけ離れた所に居ますか?」
今度はどうですか?
だから、7Km?
おかしいですよ、ソレ。
左の図で分かるとおり、出発点からの距離は 5Km のはずでしょ?
どこが違うのでしょうか?
どちらも「4+3」ではないのでしょうか?
そうです、ソレです。「歩く」には「向き」がありますが、「リンゴの個数」には「向き」がありません。
向きのある物を足すから、中学生までの足し算の考え方は通用しないのですね。
「歩く」事に限りません。世の中には「向きを持った量」はいっぱいあります。中学生の理科で学んだ「力」や「仕事」はもちろん、「」「性格」「考え方」などにも向きがありますね。
このように「向きのある量」は、今までのように単純に数字で表す事はできませんね。そこでそのような「向きを持った量」は「矢印」を使って表します。こうすれば、さっきの「北に4Km歩いて・・・」という問題も、きちんと「5Km」という結論が出せるでしょう?

このように、矢印で表さなくてならない「向きを持った量」の事を「ベクトル」といいます。「歩く」のは「ベクトル」です。
これに対して「リンゴの数」みたいに、方向の無い量を「スカラー」と言います。そうです、中学校までの数学は、スカラーに限った話だったんですね。
世の中には、ベクトルがいっぱいです。ですから中学生の数学では考えられない事がたくさんあります。そこで「数学B」では、そのベクトルについて学んで、世の中を見る目を養います。
では、ベクトルの性質について、考えてみましょうか。