さて、先ほどのページで「一次独立」という考え方が登場しました。
意味は、「お金」と「オセロの駒」の様に、「互いに交換できない」関係、具体的には「ベクトルが平行でなく、零ベクトルでもない」関係だと書きました。
うーん、確かに、初心者への説明としては、その位のほうが良いと思うので、そう説明しましたが、実は正確な説明ではありません。
詳しく言えば、「平面ベクトルに限れば、その説明でも間違いとは言えない」という所です。
が、折角ですから、もう少し正しい説明をしておきましょう。
(まだ余裕がないヒトは、後回しにしましょう。)
一次独立とは、「あるベクトルの組み合わせ(2本以上なら何本でもOK)のうち、そのベクトルが、組み合わせの中の他のベクトルの和で表せない状態」の事を言います。
ね、何が何やら、訳が分からないでしょ?(^^)
だから、最初は、この正しい説明は出さなかったんです。
順番に説明しましょう。
話を簡単にするために、最初は平面ベクトルの話に限定して説明しますね。(空間だと、話が変わる)
袋の中に、三本のベクトル、
,
,
が入っています。
ここから、どれでも良いので、好きなベクトルを一本取り出します。
今回は、
を取り出してみましょう。(
や
でも構いませんよ)
となると、今は袋の中に
,
が残っています。
さて、ここで考えます。
取り出したベクトル(ここでは
)は、袋の中に残っているベクトル(ここでは
と
)を組み合わせて、作る事ができるでしょうか?
今回の場合はできますね。
だって、
= 2
+ 1
ですからね。
ですから、この場合、「三本のベクトル、
,
,
は、互いに一次独立ではない」と言えるわけです。
もっと分かり易く言えば、この三本のベクトル、
,
,
は、その中の一本を、他のベクトルの組み合わせで代用できると言う事です。
つまり、100円玉と50円玉と10円玉の関係な訳です。
「そんなの、当たり前じゃないか!」
という意見があると思いますが、これが当たり前ではないのです。
例えば、最初の袋に入っていたベクトルが、
,
の2本だけだったとしましょう。
そこから、一本のベクトル(図では
)を取り出しました。
さて、この状態で、袋の中に残っているベクトル(ここでは
・・・・
そりゃ、無理ですね。
ですから、「
,
は、互いに一次独立」なんです。
こういう例を書くと、必ず
「ベクトルが二本なら、一次独立なのか」
と勘違いする人が居ますが、そういう事じゃないですよ。
例えば、この図の場合、ベクトルは
,
の二本ですが、
= 2
ですから、
を取り出しても、
を取り出しても、袋に残った方で、取り出したほうの代用が効きます。
つまりこの場合、「
,
は、互いに一次独立ではない」のです。
分かりましたかね?「一次独立」の意味。
つまり、ポイントは「代用が効くかどうか」なんですよ。
これが、ベクトルのすごく大切なところなんですね。
だって、ベクトル以外の分野では、高校二年生まででは、こういう考え方はなかったですからね。
しかし、この考え方は、理系にとって、すご〜〜〜〜く大切な考え方なんです。
よく押さえて下さいね。
さらに、もう少し付け加えた話をしておきましょう。(って、ここが本当は大切なんだけどね)
平面ベクトルの場合、どうやっても、三本以上の一次独立なベクトルは描けないでしょ?
どうやっても、絶対無理です。
平面で描ける一次独立なベクトルは、二本までです。
これが、「平面」の事を「二次元」と言う理由なのです。
「二次元」とは、「一次独立なベクトルは二本までしか採れない世界」という意味なんですよ。
だから、「空間」を「三次元」と呼ぶ事から分かるとおり、空間ベクトルでは、三本まで、一次独立なベクトルを採れますし、三本が限度になります。
と、ここまで書けば気が付きましたね。
そうです、平面ベクトルでは、三本以上のベクトルの係数比較は、絶対できないのです。